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循環器科
診療概要
また、循環器疾患を発症する患者さんの中には、原因として糖尿病、慢性腎臓病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、メタボリック症候群、喫煙など動脈硬化のリスクを多数抱えている方もいらっしゃいます。循環器疾患の発症を予防して健康長寿を目指すには、これらのリスクの厳重なコントロールが求められるため、普段からできるだけガイドラインに則したリスクコントロールを行い、より重篤な循環器疾患への進展や発症予防に努めています。
検査内容
以下に当科の循環器疾患についていくつか例を挙げて紹介致します。
高血圧
国内の高血圧患者さんは4300万人に達し最大の国民病と言えます。高血圧は体質や生活習慣の他に原因のはっきりしない本態性高血圧が殆どですが、特定の原因で発症する二次性高血圧と呼ばれるものもあります。高血圧症は始めは殆ど自覚症状がありませんが、放置しておくと、そうでない人と比べて多くの心血管関連の病気(心不全、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病、大動脈疾患、認知症など)を発症しやすくなると言われています。2019年には高血圧のガイドラインが改訂され、新たなエビデンスも報告されて、75歳未満の患者さんや、75歳以上であっても特定の疾患に罹っていたり抗血栓療法を受けている患者さんは、家庭血圧の厳格なコントロールが求められています。
高血圧患者さんの中には、高血圧の診断を受けていない方、高血圧と知りながらまだ治療を始めていない方、治療を受けていても目標に達していない方、あるいは経過中に急に血圧が上昇しだし下がらない方など、治療が未達成の患者さんが多くいらっしゃいます。普段から高血圧でお困りの方は、一度当科外来を受診してご相談ください。外来での血圧コントロールが不十分な場合は、1-2週間入院して頂いて原因精査・治療を行ったり、多忙な方は5-7日間の検査・教育入院も行っています。
不整脈
脈が不整になったり頻脈や徐脈となり、動悸やめまい、失神などを生じる病気です。自覚症状がなく健診で見つかることもあります。通常、頻脈性不整脈と徐脈性不整脈に分けられます。
頻脈性不整脈には、上室期外収縮、発作性上室頻拍、心房細動や心房粗動、心室期外収縮、その他の心室性不整脈などがあります。自覚症状は、重症度により、動悸や胸痛、めまいや冷汗から失神をきたすものまで様々です。基礎疾患や心不全を認めれば、不整脈と併せて治療を行います。基礎疾患や心不全がなければ、頻脈性不整脈に対して投薬治療を試みますが、患者さんの状況によっては、カテーテルアブレーションや電気ショック治療なども選択されます。
徐脈性不整脈は、脈が遅くなったり、心停止をきたし、失神やめまい、動悸、息切れなどの症状を引き起こします。基礎疾患の精査と共に、病歴聴取や12誘導心電図、Holter心電図、モニター心電計、必要な場合は植え込み型心電計などを用いて、症状と原因の診断を行い、ガイドラインに基づいてペースメーカー植え込み適応と判断されれば植え込み手術を行います。
狭心症・心筋梗塞
心臓の周りを走って心臓の筋肉を養っている動脈を冠動脈といいます。狭心症は、この冠動脈に動脈硬化が生じて血管が狭窄し、運動時などに血流が不足して、狭心痛と言われる、前胸部の圧迫感を生じる病気です。運動をやめると速やかに治まることもありますが、冠動脈が完全に閉塞して領域の心筋が壊死すると心筋梗塞になります。
心電図や採血検査、心エコー検査、運動負荷試験やHolter心電図で診断したり、冠動脈造影CT(予約制)を行うこともあります。狭窄が無いか軽度でも狭心症を生じることがあり、その場合は主に内服薬治療が行われます。狭窄が高度であったり、狭心痛が30分以上続く場合は狭窄部分が閉塞して心筋梗塞を発症している可能性があり、その場合はカテーテル治療やバイパス手術が必要となります。そのため当院では普段から三次医療機関と緊密な連携を図っています。
心不全
高血圧、糖尿病、動脈硬化性疾患や腎臓病などの基礎疾患が原因で虚血性心疾患や心肥大、弁膜症、心房細動などを発症したり、その他の心疾患で心機能が低下した場合に、動悸や息切れ、下肢のむくみといった症状が出現してくる病気です。気づかないうちに進行し急激に増悪して、急性心不全を発症し、肺に水がたまって、血中の酸素が低下し、呼吸困難をきたすこともあります。高齢者では肺炎が誘因となることもあります。
心不全の原因疾患に対しては、生活習慣の改善やそれぞれ疾患特異的な治療を行って心不全への進展を予防します。急性心不全を発症した場合は入院後、酸素吸入や点滴治療を開始し、ときには人工呼吸器の装着が必要なこともあります。一旦症状が安定すれば、できるだけ進行を遅らせて再増悪を起こさないよう食生活管理とリハビリテーションを含めた適切な治療を継続します。
また、当科を通院中に特定の理由で治療を続けることができなくなったり、様々な治療を行っても改善が得られず短期間のうちに心不全増悪を繰り返す段階 (ステージD)と考えられる患者さんに対しては、ご家族と患者さんの希望に即した緩和ケア医療も選択肢としています。